高知県立美術館冬の定期上映会





「中平 康 映画祭」

−映画をデザインした先駆的監督−



斬新な映像感覚がフランスのヌーベル・ヴァーグにも影響を与え、青春映画、アクション映画、コメディ、ミステリー、文芸作品など多彩な娯楽作品を監督した中平康監督の特集上映会です。

中平康監督は1926年1月3日東京生まれ。父は洋画家の高橋虎之助(高知県・日高村出身)。一人娘だった母方の中平姓をつぎます。戦火の厳しくなった都会を避け、父親の故郷にある旧制高知高校を卒業。48年東京大学文学部美学科に進みますが、同年夏の松竹大船撮影所の助監督試験に合格し、大学を中退して松竹に入社します。松竹では木下恵介、川島雄三、中村登、原研吉、大庭秀雄、渋谷実、黒澤明の松竹作品「醜聞」等の助監督を務めます。54年に製作を再開した日活に移り、山村聰、田坂具隆、新藤兼人監督の助監督につきます。56年助監督身分のまま「狙われた男」を撮り、続く「狂った果実」で1本立ち。大映の増村保造らとともに戦後世代を代表する映画監督として華々しく登場します。その後日活が石原裕次郎などの活躍によりアクション映画が製作の中心となるなか多彩な作品を監督します。日活退社後は、71年中平プロダクションを設立。絵金を主人公にした「闇の中の魑魅魍魎」を監督し、カンヌ映画祭に出品するなど話題作を発表します。またこの他にも香港で4本、韓国で2本作り、生涯に49作品を監督する。76年の「変奏曲」が映画の遺作となり、78年逝去。

今回は4日間で中平監督の代表作及び香港時代を含む18作品を上映いたします。また当館1階のコレクション展にて高橋虎之助の作品も12月22日(水)から2月27日(日)まで展示いたします。この機会にぜひご覧下さい。             


■上映日:2005年1月22日(土)23日(日)2月5日<土)6日(日)

■会場:高知県立美術館ホール

■入場料:前売1日券 1200円/当日1日券 1500円/4日間券4000円

身体障害者手帳・療育手帳・障害者手帳・戦傷病者手帳・被爆者健康手帳所持者とその介護者(1名)は3割引です。割引料金前売840円/当日1050円/4日間券2800円

*身体障害者割引前売券については、美術館ミュージアムショップ、県民文化ホールで取り扱います。

■主催:高知県立美術館(高知県文化財団)

■後援:NHK高知放送局・高知新聞社・RKC高知放送・KUTVテレビ高知・エフエム高知・KSSさんさんテレビ

■協賛:アサヒビール株式会社(当ホール事業はアサヒビール株式会社より年間助成を受けています)

■協力:日活株式会社、中平まみ

■前売券発売所:美術館ミュージアムショップ/高知県民文化ホール/高新プレイガイド/高知大丸プレイガイド/さんのすけプラザ/DUKE SHOP高知/高知市文化プラザ/サニーマート/TSUTAYA/こうち生協(コープよしだ・コープかもべ)


上映プログラム 全18作品
1月22日(土)

現代悪党仁義  65年/103分 10:00〜  宍戸錠、二谷英明
アラブの嵐  61年/91分 13:00〜 石原裕次郎、芦川いづみ
黒い賭博師 悪魔の左手 66年/94分 14:40〜 小林旭、二谷英明
猟人日記  64年/123分 16:25〜 仲谷昇、戸川昌子
 猟人  68年/97分 18:40〜 金漢、方盈

23日(日)
あした晴れるか  60年/91分 10:30〜  石原裕次郎、芦川いづみ
 上映前に
中平まみ舞台挨拶
紅の翼  58年/93分 13:00〜 石原裕次郎、中原早苗
 光る海  63年/125分 14:45〜 吉永小百合、浜田光夫
 月曜日のユカ  64年/94分 17:00〜 加賀まりこ、加藤武

2月5日(土)
密会  59年/72分 11:00〜  桂木洋子、伊藤孝雄
狂った果実  56年/86分 13:00〜 北原三枝、石原裕次郎
危いことなら銭になる  62年/82分 14:40〜 宍戸錠、長門裕之
学生野郎と娘たち  60年/91分 16:15〜 中原早苗、長門裕之

狂恋詩  68年/99分

18:00〜 ジェニー・フー、金漢

2月6日(日)
牛乳屋フランキー  56年/84分 10:30〜 フランキー堺、市村俊幸
あいつと私  61年/105分 13:00〜 石原裕次郎、芦川いづみ
泥だらけの純情  63年/91分 14:55〜  吉永小百合、浜田光夫
砂の上の植物群  64年/95分 16:35〜  仲谷昇、西尾三枝子


1月22日(土)

「現代悪党仁義」10:00〜

65年/103分/16ミリ/モノクロ/日活スコープ出演:宍戸錠、二谷英明、稲野和子

 
 大阪ミナミを舞台に、口八丁手八丁で金を吐き出させる詐話師集団(宍戸ら)と金庫破り集団(二谷ら)がダマシあう。大阪弁の歯切れの良さとドキュメンタリー・タッチのロケを活かして描く異色のコン・ゲーム映画。中平には数少ない“関西もの”だが、奇妙に洗練された雰囲気を持つ快作。中平映画の喜劇陣総出演。


「アラブの嵐」 13:00〜

61年/91分/カラー/日活スコープ

出演:石原裕次郎、芦川いづみ、小高雄二

 温室育ちに別れを告げるべく祖父の遺言にしたがって、目的地も決めず世界に旅立った青年がエジプトで独立運動に巻き込まれる。エジプトに大ロケーションを敢行し、ピラミッドや遺跡、大自然の実景をたっぷりと取り入れた大作。しかし現場のドタバタと社内の無理解がはっきりと画面から読み取れる迷作。


「黒い賭博師 悪魔の左手」 14:40〜

66年/94分/カラー/日活スコープ

出演:小林旭、二谷英明、大泉滉

 荒唐無稽も度が過ぎる!“オースティン・パワーズ”より底の抜けた快作&怪作。賭博の収益で水爆を買いこみ世界征服を目論まんとする小国の野望を、氷室浩次の“悪魔の左手”が打ち砕く!国際賭博大学プロフェッサーの二谷が率いる3人の凄腕ギャンブラーたちが氷室に挑むというナンセンス・コメディの極北。


「猟人日記」 16:25〜

64年/123分/モノクロ/日活スコープ

出演:仲谷昇、戸川昌子、十朱幸代

 好みの女をモノにしては逐一ノートに書きとめる・・・。そんな男が罠に落ちた連続殺人事件をめぐる、グロテスクでビザールなエロティック・ミステリ。途中で視点がまるっきり交替する大胆な構成も奇々怪々。原作者戸川自ら準主演、銀巴里の歌手として丸山(美輪)明宏も登場。シューマンの歌曲「流浪の民」が実に効果的に使われている。


「猟人」 18:40〜

68年/97分/カラー/ショウスコープ/ショウ・ブラザース

出演:金漢、方盈

 60年代後半、数名の日本人監督が香港ショウ・ブラザースに招かれ監督をしたが、中平もその一人。「猟人」は「猟人日記」のリメイク。中平の香港名は康→ヤスシ→楊樹希(ヤン・スーシー)。



23日(日)

「あした晴れるか」 10:30〜

60年/91分/カラー/日活スコープ

出演:石原裕次郎、芦川いづみ、中原早苗

 新進気鋭の江戸っ子カメラマン(裕次郎)+二人の美女(芦川、中原)&不良少年(杉山)&元ヤクザ(東野)&へんな殺し屋(安部)?がくりひろげる、ハイテンポな和製スクリューボール・コメディ。“メガネを外したら美人”のマンガ的ヒロイン芦川が超キュート!!


「紅の翼」 13:00〜

58年/93分/カラー/日活スコープ

出演:石原裕次郎、中原早苗、二谷英明

 「狂った果実」以来、2年ぶりに裕次郎との顔合わせとなり、緻密に計算された重層的サスペンスと雄大な航空シーンの対比が見事な超エンタテインメント。冒頭からクライマックスまで中平の演出は間然とするところがない的確さでスリルとサスペンスを持続させ、娯楽映画の手腕を余す所なくみせた。


「光る海」 14:45〜

63年/125分/カラー/日活スコープ

出演:吉永小百合、浜田光夫、和泉雅子

 「朝日新聞」に連載された石坂洋次郎の小説の映画化。同じ大学を卒業し、それぞれの道を歩み始めた若者たちの恋愛群像が描かれ、新しい人間関係が提示される。吉永小百合のエキセントリックで色のあるヒロインが新鮮。森雅之、田中絹代、高峰三枝子、宮口精二といったベテラン勢を共演に迎え、中平流群像劇の総決算的な作品。


「月曜日のユカ」 17:00〜

64年/94分/モノクロ/日活スコープ

出演:加賀まりこ、加藤武、中尾彬

 永遠の小悪魔・加賀まりこのキュートでコケティッシュな魅力が全開。ドキュメンタリータッチのキャメラワーク、無声喜劇風の追っかけアクション、コマ操作を多用した時間処理など、グラフィカルかつトリッキーなたくらみも満載され、映画的楽しさを追及したヌーベル・ヴァーグへの中平の回答作。


2月5日(土)

「密会」 11:00〜

59年/72分//モノクロ/日活スコープ出演:桂木洋子、伊藤孝雄、宮口精二

 「週刊新潮」所載の吉村昭の小説の映画化。不倫の恋に落ちた大学教授夫人が、密会中に殺人事件を目撃する。脚色は中平自身で、中平は細かいスケッチの積み重ねで綴り、無駄のない引き締まった演出が見事な傑作心理サスペンス。

「狂った果実」 13:00〜

56年/86分//モノクロ/スタンダード出演:北原三枝、石原裕次郎、津川雅彦

 「太陽の季節」で芥川賞を受賞した石原慎太郎の原作・脚色を元に、短期間で撮影され、日本映画を、そして世界の映画史を変えた奇蹟の作品。大胆なキャメラ・アングルとスピーディーなモンタージュで、原作の虚無的なムードと屈折した青春の情熱をスクリーンに定着した。批評家時代のトリュフォーが熱狂し、フランスのヌーベル・ヴァーグの作家たちにも大きな影響を与えた。


「危いことなら銭になる」 14:40〜

62年/82分//カラー/日活スコープ出演:宍戸錠、長門裕之、浅丘ルリ子

 ニッポン・アクション・コメディの絶対無敵最高傑作!“贋金作り世界一“のエロ爺さん(左卜全)をめぐってギャング団と腕に覚えのある男たちが争奪戦を繰り広げ、宍戸、長門、ルリ子らが奇演怪演。全編ヒップなギャグとパロディがテンポよく展開され、終盤ではアッと驚くナンセンスなギャグが登場する。原作は都筑道夫の「紙の罠」。


「学生野郎と娘たち」 16:15〜

60年/91分/モノクロ/日活スコープ

出演:中原早苗、長門裕之、芦川いづみ

「週刊文春」連載の曾野綾子の小説「キャンパス110番」を映画化した風刺喜劇。当時の学生気質を相当誇張して描き、「主人公を特定せず、多くの登場人物を等価に描く」という群像劇の方法論が見事に開花し、主要人物たちのキャラクター造形のユニークさもあり快調な作品に仕上げている。


「狂恋詩」 18:00〜

68年/99分/カラー/ショウスコープ/ショウ・ブラザース

出演:ジェニー・フー、金漢

ほとんどそのままな香港での「狂った果実」のリメイク。裕次郎の演じた夏久は「大偉(デイヴィッド)」、津川の演じた春次は「小春(シャオチョン)」、北原の演じた恵梨は「珠廸(ジュディ)」と置き換えられている。実景部分はオリジナルと同じ葉山で撮影された。


2月6日(日)

「牛乳屋フランキー」 10:30〜

56年/84分/モノクロ/スタンダード

出演・フランキー堺、市村俊幸、小沢昭一

フランキー堺、ブーチャンこと市村俊幸共演により当時の太陽族のパロディなどを入れながら低予算で作られた。ハロルド・ロイドの名作喜劇「ロイドの牛乳屋」(36年)のシチュエーションを借りながらも日本映画界ではあまり作られなかった、本格的なスラップスティック・パロディを生み出した。


「あいつと私」 13:00〜

61年/105分/カラー/日活スコープ

出演:石原裕次郎、芦川いづみ、吉永小百合

「乳母車」「陽のあたる坂道」など石坂洋次郎の小説をもとにした青春映画のひとつ。60年安保闘争のさなか、新しい性倫理と恋愛のかたちに真正面から取り組んだ青春群像劇。当時スキー事故により負傷した裕次郎の復帰作として公開され、その年第1位の興行成績を挙げた大ヒット作。


「泥だらけの純情」 14:55〜

63年/91分/カラー/日活スコープ

出演:吉永小百合、浜田光夫、和泉雅子

ひょんなことから外交官の令嬢(吉永)とチンピラ青年(浜田)が身分の違いを越えて恋に落ちる・・・。公開時は一世を風靡し、吉永小百合の大衆的支持を絶対的なものにした大ヒット作。祝福されない愛の哀しみと痛みを見事に描いた純愛ラブ・ロマンスの歴史的傑作。


「砂の上の植物群」 16:35〜

64年/95分/パートカラー/日活スコープ

出演:仲谷昇、西尾三枝子、稲野和子

 映画化困難と言われた吉行淳之介の原作を、審美的かつ乾いたモノクロ映像、不意に挟まれるパウル・クレーの色彩画、バッハの幾何学的旋律などを用い、中平が持てる才能のすべてとテクニックを駆使して描いた大傑作。「狂った果実」以来、中平が執着し続けたテーマの最終形態がここにある。

(C)日活株式会社
画像写真の著作権は日活株式会社に帰属します。無断使用、無断転載はおやめください。


■中平康(なかひら こう)プロフィール 
      (1926〜1978)

1926年13日東京生まれ。父は洋画家の高橋虎之助(高知県・日高村出身)、母方の中平姓をつぐ。旧制高知高校を卒業し、48年東京大学文学部美学科に進むが、同年夏、松竹大船撮影所の助監督試験に1500人中8人の1人として合格。大学を中退して松竹に入る。同期には松山善三、鈴木清太郎(清順)、井上和男、生駒千里、今井雄五郎、斉藤武市、有本正。松竹では木下恵介、川島雄三、中村登、原研吉、大庭秀雄、渋谷実、黒澤明の松竹作品「醜聞」等の助監督を務める。54年に製作を再開した日活に移り、山村聰、田坂具隆、新藤兼人監督の助監督につき、56年助監督身分のまま「狙われた男」を撮り、続く「狂った果実」で1本立ち。大映の増村保造らとともに戦後世代を代表する映画監督として華々しく登場し、日活が石原裕次郎などの活躍によりアクション映画が製作の中心となるなか青春映画、アクション映画、コメディ、ミステリー、文芸作品など多彩な娯楽作品を監督する。日活退社後、71年中平プロダクションを設立し絵金を主人公にした「闇の中の魑魅魍魎」を監督し、カンヌ映画祭に出品。またこの他にも香港で4本、韓国で2本作り、生涯に49作品を監督する。76年の「変奏曲」が映画の遺作となり、78年逝去。

「狂った果実」撮影風景

「あいつと私」会見より

「あいつと私」本読み風景