自由民権運動と土佐

自由民権運動は、明治初期の専制政治を排して、国会・憲法をつくり、政治的自由と民権を求めようとした全国的な政治運動であったが、
この運動のなかで、数多くの文学的な発言がなされ、小説・新体詩・漢詩・評論・和歌・俳句・顕彰文などのジャンルにわたって特異な文学作品が生み出された。
なかでも、「自由は土佐の山間より出づ」をいわれただけに、自由民権運動文学は、土佐人の手に成るものが多い。


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宮崎夢柳
(1855〜1889)


本名富要。別名芙蓉。藩校に学んだ後東京に進学、英書を学ぶ。
明治十三年創刊の「高知新聞」の記者となり、自由民権運動家として論説、小説、漢詩で活躍。 明治十五年上京し、「自由新聞」・「自由燈」にフランス革命やロシア虚無党ものを材に採った翻案小説を発表、自由な脚色が好評、一世を風靡した。
帰高後、大阪に出て、同地堂島で病没した。明治の政治小説に新面目をもたらした功績は大きい。
ロシア虚無党ものなどに材をとった翻案小説を多く発表。自在な脚色が好評を得、一世を風靡した。
 <おもな著作>
 『鬼啾啾』『自由の凱歌』など

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中江兆民
(1847〜1901)

本名篤介(とくすけ)。少年時代から学問好きで、漢籍・洋書ともに精通。
大久保利通に会い「民間の書生も採用せよ」、と説得し司法省出仕、刑法学専修の身分となりフランス留学を実現させた話は有名。
帝政瓦解のあとのパリ・リヨンで民主主義思想の深い感化を受けた。
ルソーの「社会契約論」の訳『民約訳解』は社会に大きな影響を与え、東洋のルソーと称された。
『三酔人経論問答』『一年有半』は文学的にも評価が高い。 

<おもな著作>
『民約訳解』『三酔人経論問答』『一年有半』『続一年有半』など



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植木枝盛
(1857〜1892)
東京の海南私学に入学するが、まもなく帰高、立志社に学ぶ。
以後ほとんど独学自習で諸文献に学び、演説会を聴講する。自由燈の理論的指導者として民権思想の啓蒙に大きな業績を残した。
文学的には「民権自由数え歌」や『自由詞林』の民権詩歌が、日本近代詩のさきがけとなった。
また『民権自由論』などの平易な口語体の使用も注目される。
自己の記録『無天雑録』『植木枝盛日記』も貴重である。

 <おもな著作>
 『民権自由論』『自由詞林』『植木枝盛日記』


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坂崎紫瀾
(1853〜1913)

「高知新聞」発刊とともに編集長となり、自由民権運動を推進。
広栄座での初興業で、「ブルータス伝」を講釈し、不敬罪で禁固となる。
その保釈中に、維新の英雄坂本龍馬を描いた『汗血千里の駒』を連載。大好評となる。
これによって坂本龍馬を初めて広く世間に知らしめた。

 <おもな著作>
 『汗血千里の駒』『維新土佐勤王史』



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幸徳秋水
(1871〜1911)
中村市生まれ。本名伝次郎。秋水の号は師・中江兆民の命名。
出生の翌年、父とは死別。少年時代、自由民権運動の感化を受け林有造を頼って上京。
「自由新聞」を皮切りに新聞畑を渡り歩き、「万朝報」の論説記者になったが、日露開戦前、非戦論を唱え堺利彦らと退社。
平民社をおこし反戦思想と社会主義思想の普及に努めた。
明治四十四年、いわゆる大逆事件で処刑された。多くの論説・評論のほか漢詩にも秀作が多い。
<おもな著作>
『社会主義神髄』『廿世紀の怪物帝国主義』『兆民先生』『基督抹殺論』など

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田岡嶺雲
(1870〜1912)


高知市生まれ。本名佐代治。幼少時より自由民権運動の感化を受け、演壇に立ったこともある。
水産伝習所時代の師、内村鑑三の「偽君子となるな」の教訓を終生肝に銘じた。
樋口一葉・泉鏡花の才能をいち早く認める文学論評の外、その鋭い社会評論ゆえに発禁に次ぐ発禁という不幸にも遭う。
病と闘いながら四十年の生涯を回顧して執筆された『数奇伝』(さっきでん)は、明治期における優れた病床文学・自伝文学となっている。
海外研究者の評価も高い。<おもな著作>
『嶺雲揺曳』『壺中観』『数奇伝』など

2000年度秋季企画展
  「土佐の反骨 田岡嶺雲」展(10月21日〜12月3日)


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黒岩涙香
(1862〜1920)
安芸市生まれ。本名周六。大阪英語学校、次いで東京で学ぶ。早くより英才ぶりを発揮。
新聞記者のあと独立、「万朝報」を発刊、明治の新聞界に大きな業績をのこす。
また「白髪鬼」「巌窟王」「噫無情」など次々と翻訳小説を「万朝報」に連載。
その圧倒的な人気は、当時の文壇に脅威を与えたといわれる。
わが国の探偵小説の祖として、大衆文芸の先駆者として、近代文学史上その功績はきわめて大きい。

2005年度秋季企画展
「土佐が生んだ明治の巨人 黒岩涙香」展(9月10日〜10月16日)

 「黒岩涙香と万朝報」をみる

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