平成21年度計画の発掘調査

いずれも国土交通省関係です
1. 土佐国道事務所関係
  (1) 高知南国道路
    関遺跡
  (2) 南国安芸道路
    徳王子前島遺跡
    東野土居遺跡
  (3) 高知西バイパス
    天神溝田遺跡
2. 高知河川国道事務所事業
  (1) 波介川河口導流事業
    上ノ村遺跡
3. 高知地方検察庁事業
    西弘小路遺跡

過去のデータ・・・・・
平成20年度・・・・・・・・・・・・・・・・
1. 土佐国道事務所関係

  (1) 高知南国道路

    関遺跡
    向山戦争遺跡遺跡
  (2) 南国安芸道路
    徳王子大崎遺跡
    徳王子前島遺跡
  (3) 高知西バイパス
    鎌田遺跡・貢山城跡
    天神遺跡
2. 高知河川国道事務所事業
  (1) 波介川河口導流事業
    上ノ村遺跡

平成19年度・・・・・・・・・・・・・・・・
1. 土佐国道事務所関係
  (1) 高知南国道路
    西野々遺跡
  (2) 南国安芸道路
    徳王子広本遺跡
  (3) 高知西バイパス
    城ヶ谷山遺跡
2. 高知河川国道事務所事業
  (1) 波介川河口導流事業
    上ノ村遺跡

 

天神溝田遺跡

 国土交通省の高知西バイパス建設に伴い,いの町天神地区の天神溝田遺跡について昨年度より発掘調査を実施しています。天神溝田遺跡は,いの町天神地区に所在し,宇治川が仁淀川に合流する付近に位置しています。昭和41年に宇治川改修工事中に銅戈や銅剣が発見され,いの町の有形文化財に指定されています。遺構検出状態
 今回の調査対象地は音竹城跡の山麓部に当たり,昨年度の調査では近世(17世紀後半〜18世紀後半)の遺構面と古代(9世紀末〜11世紀代)の遺構面を検出しました。近世の遺構面では,屋敷地を区画する溝や堀立柱建物跡などの遺構が確認されています。また,古代の遺構では掘立柱建物の柱穴や鍛冶に関連すると思われる土坑などが検出されました。
 今年度の発掘調査は昨年度に調査した部分の西隣にあり,平成21年4月22日より調査を開始しました。現在,天王神社の東隣から発掘調査を行っており,上面の遺構について調査中です。上面の遺構は近世(17世紀代)のものが主で,ピット(柱穴),溝,土坑等が検出されています。遺物出土状態屋敷地を区画すると考えられる東西及び南北に延びる溝状遺構とその南側に掘立柱建物跡が検出されています。また,焼成土坑が4基確認されました。出土遺物は僅少ですが,遺構や遺物包含層中から近世陶磁器類(唐津・伊万里)を中心に土師質土器などが出土しました。また,溝状遺構から17世紀代の瀬戸織部焼が出土しています。(2009.6.2)

 先月報告した調査区(I区)上面で確認された江戸時代初期の屋敷地の調査を終了し,現在,屋敷地の整地土を除去し,完掘状態下層面(奈良〜平安時代)の調査に入っています。
 調査区は丘陵裾にあたり,西端の標高14m前後を測る地点では弥生時代後期の土器が集中して出土しました。下層には宇治川の氾濫堆積とみられる泥層が累重し,この弥生土器は泥層上面で検出されています。周辺の天神遺跡でも弥生時代後期の土器が炉跡と共に確認されており,その頃の集落の広がりを把握するための資料となっています。(2009.6.30)

 現在発掘調査中のII区では,上層の遺構を調査中です。遠景調査区東部の丘陵谷部では,土師質土器・瓦質土器・東播系須恵器・常滑焼・備前焼・青磁等の中世(南北朝期)を中心とする遺物が数多く出土しています。また,遺構では,断面がV字形を呈した屋敷を区画する溝(SD2)が検出され,山頂部に存在していた音竹城とあわせて,当時の様相がうかがえる結果となりました。また,古代の層からは鉄滓が多く出土しており,鍛冶関連の施設が周辺にあった可能性が考えられます。(2009.9.9)

 出土状態II区の土坑の中から室町時代前半頃の備前焼の壺が完形で出土し,内部には直径9.1cmを測る銅製の和鏡が納められていました。和鏡は日本で作られた日本的な意匠を持つ鏡であり,裏側に州浜,松樹,双雀の文様が見られます。紐座(紐を通す部分)には紐が残っているなど,良好な保存状態で出土しました。県内では,神社の伝世品を除いて発掘調査で出土したのは野田遺跡についで二例目になりますが,壺などに埋納された状態で出土したのは初めてです。骨壺の中に副葬品として納められたとも考えられますが,壺の口に近い所から鏡面側を上にした状態で出土していることから,まじない的な行為和鏡の際に使用された可能性も考えられます。この周辺には15世紀代の土坑墓も見つかっており,当時の墓制を知る上で非常に貴重な成果となりました。
 下層では古代の掘立柱建物跡や土坑が確認され,黒色土器,緑釉陶器,また,鉄滓など鍛冶関連の遺物が出土しました。
 9月12日には現地説明会を行い,いの町内外から約150名の参加があり,調査成果について広く公表することができました。天候が悪い中,数多くの方々に参加頂き,ありがとうございました。その後,埋め戻しを行い,9月30日をもって発掘調査は終了しました。(2009.10.15)